womb to tomb

KLCで顕微授精の末に授かった、まだ見ぬわが子の成長記録と自分の体調変化、その他思うところ。

W30 Day5

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妊娠後期に入り、健診が二週間毎になった。あなたの成長具合は大き過ぎることも小さ過ぎることもなく程良い塩梅で、体重もようやく1.5キロを超えたので一安心。よかった、これで万が一早産になってしまったとしても、医学の力を上手く借りられれば助かる可能性がかなり高くなった。
で、今日から10回の胎動を感じるのにかかった時間を計る、いわゆる胎動カウントを記録する様に病院から指示があった。当初のあなたの動きは、まるでチビマリオがプオーンプオーンと割れもしないレンガ目掛けてジャンプをしているような、微々たる振動だったと記憶しているが、今やすっかり勢いを増したそれは、紛れもなくキノコを食べてスーパーマリオ化した後の、力強い正拳突きである。まあ正確には、こぶしというより脚の動きな訳なのだが、ドフドフドフドフ胃のあたりを連続攻撃してくるので、コインというより消化途中の物体がわたしの口からキラキラと溢れだしてしまいそうだ。
身体を動かせる事が楽しくて堪らない、という感じのあなたは毎日実にアクティブで、上記のキック以外に目立つのは、全身を使って子宮に内側から上下にアイロンをかけて伸ばしているような、グウィーングウィーンというゆっくりと重厚な動きと、洗濯物がダンゴ状になって脱水機の中で右往左往回っているような、ドゥルンドゥルンドゥルンドゥルンという素早く小刻みな動きである。
振動の衝撃で夜中に目が覚めて寝不足になることもあるけれど、胎動はこれまでの人生で経験した中で、最も幸せでまろやかな気持ちにさせてくれる感動的な体内変化だ。これまでどんなに胎児の経過が順調だと言われても、何が起こるか分からない恐怖心が常にあったが、あなたのパワフルな一撃を受け止める度に、不安や邪念がひとつひとつ消滅するのと引き換えに、わたしの枯れたすすき野のような下垂体にも一輪一輪小さな花が咲く。ついにそのお花畑気分を具現化せずにはいられなくなって、早くもナーサリールームをせっせと準備し始めてしまった。ベッド以外はいつか子供部屋にと思ってとっておいた有りものと余り端切れを駆使して作った掘っ建てどケチ部屋だけれども、あなたが気に入ってくれたら嬉しい。